電気自動車のアイミーブM購入をして2025年の夏で2年半くらい経過しました。いろいろ楽しんでいますし、現状かなり満足しています。2年半前といえば、サクラ/EKが売れすぎて「なんでみんなサクラ買うんだろう?」とか思ってた頃ですね。個人的にはアイミーブMと比較して魅力がなかったのでスルーしたのですが。
ところが2025年4月に日産サクラの中古市場を見ると、100~150万円の枠で大量に出ていました。売れていたと聞いているだけに、これには私もびっくりです。なぜびっくりかと言うと、この車は補助金抜きで税込み300万円前後で、なおかつ販売開始が2022年5月だからです。つまり最も古くても初回車検ようやく迎えるかどうかです。しかも補助金は4年保有が条件のため、ディーラー試乗車・展示車でなければ補助金要らないから手放したということにもなります。なぜここまで中古電気自動車が安いのでしょうか。そしてその中古電気自動車がお得かどうかも考えていきましょう。
結論から言うとサクラは中古でもまだ割高
いきなり結論を言うと、正直な話150万円は高い、130万円もまだ高い、110万円でもまだちょっと高いくらいの感想です。あくまでも私の意見ですが。110万円を出すのであれば、スズキのアルトや日産のデイズの一番安いグレードの新車・未使用車・高年式車を買ったほうがトータルでは良いでしょう。いや、サクラはサクラで魅力たっぷりの車ではあります。特に快適装備だけを考えるとアルトの安グレードとは雲泥の差です。走行音も静かです。プロパイロットまでついているものもあります。だからといってこの車を安いからえいやーで買ってしまうのはちょっと待ってください。
なぜ、私が「110万円でも高い」とか言うのか。それは地方における軽の用途として考えるならアルトの安グレードを買ったほうが良いからです。いくら快適装備がついているからといっても、地方だとサクラの航続距離と充電性能を考えると遠出がかなり大変です。別に1000km運転しろと言っているわけではないです。それならどっちも大変ですから。ただサクラの性能を考えると、往復200kmを超えるあたりから相当苦労するはずと私自身は自身のアイミーブ遠出による運用から考えています。そして、ここが最も重要ですが、サクラの遠乗りは割高です。どれだけ割高かというと、運用次第ではアルファードで遠出したほうがランニングコストが安くなる可能性すらあるといえば理解してもらえるでしょう。シエンタでもセレナでもないですよ、アルファードです。しかも充電器探しや充電待ち、充電決済手段、充電速度で難儀した上でです。どうですか?買いたくなりましたか?110万円で買いたくなりましたか?110万円でもっと別の車を買ったほうがいいんじゃないですかね?と私は思います。
充電性能が低いEV
なぜサクラがあの相場でも割高なのかをここから具体的に見ていきましょう。結局のところ基礎的な充電性能が低いという一言で済まされてしまうのですが、この説明がめんどくさくて長くなります。ただ長くても説明しきらないといけません。
まず最初に、家で充電する場合や外で長時間駐車する場合には「普通充電」という規格を使います。200V・15Aの3kWという出力でサクラの場合はしていきますが、2024年にホンダから登場したN VAN eでは倍速の6kWに対応しています。まずここで既に時代遅れとなっています。 6と3で何が違うかって言うと結構違うんですよ。3だと1時間程度充電しても3kWh入らないのです。これはサクラの調子のいいときで15~25kmくらいの電力に相当します。一方で6だと6入らないとしても5程度は入るとして、30~50km前後の電気が使えます。私自身は遠出のときチリツモ作戦で普通充電で継ぎ足しながら進むことがありますが、これが3しか対応してないアイミーブだと不足感を感じるものの、おそらく6まで対応していたら不足感はだいぶ減るはずです。隣町に6kWの無料急速充電スポットがあるのですが、それの使用感がまさに6kWの普通充電器そのもので、体感の違いに驚いたものです。アイミーブMだと1時間で50%分充電してくれるわけだからそりゃそうですよね。
家で充電して寝てる間に、という専用の運用ならば3でも充分ですが、それ以外を考えると、3に不足感が出てきます。アイミーブと比較してサクラは電費が悪いので、より不足感が出てくるかなと思われます。まあ外で6kW充電するとちょっと高いんですけどね。この辺もまた後々解説しないといけません。
次に、急速充電の性能の低さについても説明しないといけません。おそらくサクラ最大の失敗とも言えます。なぜなら、急速充電性能は最大30kWに抑えられているからです。アイミーブは50kWだったので、明確に性能が落ちています。もっとも、これでバッテリーの劣化を抑えられる可能性があるなら悪い話でもないのですが…。
最大30kWというのがまた曲者で、実際にはみなさんが充電するであろう値である30~80%の範囲で最大出力の30kWが出る時間帯はほとんどありません。80%に近づくと15も出ないのではないでしょうか。たくさん電気が入るとたくさん走れるが、そのための所要時間が短いので、より充電時間を短くするには10%未満~50%程度をくり返すのがベターです。そこまでしなくてもいいのではと思われるかもしれませんが、「出力30kWをキープしても20km/Lのガソリン車よりもランニングコストが高くなる可能性が高い」のですから考えざるを得ません。電気自動車の急速充電料金は2025年現在では55円/分が一般的で、30kWでは110円で1kWh、サクラだと10km弱走れることになります。ガソリンより高いのが容易に想像できます。これが15kWしか出ない場合だと220円で10km弱走れるとかになるのです。「アルファードより高い」っていうのがなんとなく想像できましたよね?
バッテリー容量が20kWhしかないというのもまた問題で、残り30%だと6kWh(10%劣化したバッテリーだと5.4kWh)残っている状態ですが、一番良い条件で60km走行可能、悪い条件だと40km走れるかどうかです。遠乗りでバッテリー残量30%以下まで使い込むのは精神的に厳しいかもと思いますが、30%から急速充電しようとしても充電効率が最も良い部分はほぼなく、制御によってすぐ充電速度が落とされてしまいます。大容量バッテリーほど好まれる、運用しやすい理由の1つがこれです。たとえばバッテリー50kWh搭載しているEVなら12%で6kWh残ですから10%まで使い込みやすいですし、そこから50%で充電ストップしても25kWhの電力が残っています。ただ、サクラだと10%まで使い込む(つまり残り走行距離10~20kmまで使う)のは精神的余裕が必要ですし、50%でストップしたら10kWhの電力しか残りません。だから遠出では必然的に80%あたりまで充電する必要が出てきます。しかもバッテリーは劣化します。20%劣化したバッテリーなら、20kWhは16kWhになります。サクラと同じバッテリーを2ユニット搭載しているとも言われる2代目リーフ(40kWh)は最も古いもので7年経過していますが、80%台前半まで劣化している報告が多いです(これでも初代よりは格段に劣化しなくなりました)。よりバッテリー容量の少ない(=充放電サイクルが多くなる)サクラはそこまでは劣化すると見て良いと思います。サクラを購入する場合は、新車時のバッテリー容量20kWhから16kWhに、そして将来的には14kWhに劣化することを前提にしたほうが良いでしょうね。なお、5%程度の劣化(20から19)はリチウムイオン電池(NMC)の特性上どんなに頑張って管理しても早期に起きてしまうと思われます。
私が乗っているアイミーブMは容量こそ10.5kWhと少ないものの、バッテリー(SCiB)の特性上0%から92%くらいまで最高出力で入ってくれる上にバッテリーそのものには劣化がないのでガソリンを継ぎ足す感覚で充電できます(私のは新車時から11万キロ走行していますが、バッテリー容量は新車時と比較して-5%劣化しています)。125A(50kW)の充電器を使うと大体10分で20%→80%程度まで充電してくれています(休憩施設に入って充電スタートさせて、お手洗いなど行ったあとちょっと店を見ていればすぐ到達する)。75Aの充電器を使うと100%まで75A一定で充電してくれます。ただしバッテリーの電圧がだいぶ低いので、50kWでも実際は35~37kWに、75Aだと21~23kWくらいしか入らないのですが。なお、同じ特性をもったバッテリーを搭載したEVは現在作られていません。
アイミーブMに乗っていると、最高30kW出力で途中から25に、20に、15に落ちていくというのは遠乗りだと不便だろうなぁという気はしますね。75A(つまり21kW出力)でもだいぶ遅くは感じますからね。つまり今後の改良でサクラは50kW対応くらいはすべきだろうと思います。これなら70%近くまで30kW以上の出力になるはずなので体感がかなり違ってくるはずです。
実際にはサクラ購入を考える層は(考えない人も多いかもしれませんが)購入の際にどういうランニングコストになるんだろうと計算して「買うのは冒険だな」として結論を出して見送っていると考えます。サクラの初期ユーザーは考えない人・EVがいいって人が大半だったものの、これから買う層ほど計算はするはずなので、誰も買わずに相場が落ちている一因なのかもしれません。
ちなみに外で充電する場合、普通充電・3kWでも150~200円くらいが相場ですが、これで20~30km走れるかどうかの電力を1時間かけて充電するとなったら「なんかお得感ないな」と感じることでしょう。アイミーブだと大体30km超えられるんでいいのですが。アルトならガソリン1リッターで20kmどころか30kmも余裕ですね。
複雑怪奇な上に偏在する全国の充電網
現状、日本における充電網は「EV乗りで充電事情に精通してないとうまく使い分けするのが難しい」レベルで複雑怪奇です。その割に安くないというおまけつきです。簡単に例えると、日本全国のスーパーで決済手段がその店独自のQRコード決済しか受け付けない(QRコード決済にはクレジットカード登録が必要)みたいな感じになっています。スーパーをコンビニに置き換えてもいいです。それもサンクス、サークルK、ポプラ、スリーエフ、am/pmとかがあった時代のコンビニ網です。セブンイレブンだ、セブンペイにチャージしなきゃ…ファミマだ、ファミペイ使わなきゃ、(スリーエフ専用決済、サークルK専用決済)みたいな使い分けをほぼ強制されます。現状、充電事業者のアプリと独自決済だけでも2桁(10以上)は余裕でありますから、各事業者ごとにアプリを入れて会員登録して住所氏名クレジットカード番号入力を場合によっては充電器の前でスマホをポチポチ…。そしてそんな努力を強いられる割には安くないです。いやガソリンより高いです。スマホがあれば完結!ってわけでもなく、硬貨投入式オンリーな充電器もあります。具体的には富士吉田の道の駅ですが、全国各地にあります。
複雑怪奇で安くないことは理解できたかと思いますが、その上で、充電スポット自体は増えているものの充電器は都市部に偏在しており、人口数万程度の街では日産ディーラーくらいでしか充電できないとか、それすらもないとかいうのが当たり前になっています。先日、徳島県阿南市から高知県香美市まで国道195号を運転しましたが、道中たくさんのガソリンスタンドを見掛けたのに肝心の充電器は急速も普通も0、結局100kmくらい走行しないと充電器にたどり着けないという地獄のような移動をしてきました。アイミーブMの場合、ベストエフォートが航続距離120kmなのでヤバさが際立つのですが、100%→25%とベストエフォート(12km/kWh×7.5)を自らの力で出してギリギリ次の充電器に付きました。その充電器は5分で1kWhしか充電されず、決済手段次第では1分55円、アイミーブの場合10km強走るため275円を請求されるという超ヤバスポットだったのですが、そこしかなかったら使うしかないですよね。まあ私の場合、電動車両サポートという会員サービスで1分8.8円で充電できたため、致命傷にはなりませんでした。エコQ電でも15分275円なので、275円で30~36km走れるならまあそんなに悪い話でも…20km/Lのガソリン車とほとんど変わらないですね。サクラで100km充電器なし区間を走ることは比較的余裕かと思われますが、肝心の80%から100%まで充電するコストが急速充電だと馬鹿みたいに高いので、それを嫌って80%で出発したときには季節によっては走りきれないかもしれません。
充電器が偏在しているということは充電器を選べないということでもあり、私が体験したような事例はいくらでも遭遇する可能性があります。地方に行くほど顕著で、それは四国に限った話でなく、東京から青森まで下道で行ったときには白河から喜多方までの国道294号に充電器がほとんどなくて苦労した思い出があります。他には秋田の角館~大館も道の駅阿仁のボロい充電器1つと米内沢のローソンにあるボロボロ充電器1つがライフラインでした。それに1分55円支払う覚悟があるか?
関東にしても同じです。簡単に言うと東京23区近郊から河口湖まで往復するのにサクラでも絶対途中で充電しないといけないですが、たとえば山中湖村には急速充電スポットは1つしかなく、道志村には存在しません(昔はありましたが撤去)。河口湖から道志みちを通って相模原までかなり距離がありますが、充電器が1つもないって怖いでしょう?こういうのが全国各地にたくさんあると考えると怖いですよね。しかも田舎の古い充電器は撤去されてそのままの傾向です。
1つあるからと安心してはいけません。急速充電スポットは故障率が比較的高くて、唯一の充電スポットにたどり着いたら壊れてて電欠の危機というのが割と起こり得ます。高知県梼原町にある唯一の充電スポットに残り15%でたどり着いたら故障、残り5%で峠越えして隣の愛媛県鬼北町の充電器に辿りついたこともあります。それと過去には佐賀県の充電器で、動いてる判定なのにタッチパネル故障なので使えなくて現地でそれを見て私は「そんな壊れ方ってある?」って落胆したこともあります。充電器自体は動いているのに「ビルの外壁工事中なんでここから先は入らないでください」の中に充電器が設置されていて(稼働中判定)、しかもそれが苦労してたどり着いたホテルだったがために「朝には100%充電になってるな」が一転、夜に充電器を探して右往左往したこともあります。長浜のルートインでした。故障自慢しがちな欧州系メーカーのオーナーというのはありがちですが、EVオーナーは「こんな壊れ方してたよ」的な充電器故障自慢をしがちになるのかもしれません。
充電器が壊れていなくても安心してはいけません。先客がいたら最大30分待ちです。まあ30分で済んだらいい方なんですが…私は充電待ちしていたら「あと30分しないと家にたどり着けないから充電する」と高圧的に言い放っておかわり充電して居座ったリーフ(八王子ナンバー)に遭遇しました。当時は1口しかない諏訪湖SA(上り)でした。このような対人トラブルというのがたまにあります。まあこれくらいしか遭遇してないんですけども、こういうのって遭遇したら旅の嫌な思い出になりますよね。私は「この先いくらでも中央道沿線に充電器あるだろうに、愛媛ナンバーだから何も知らないだろうとホラ吹きやがって(実際は誰よりも道路に詳しい)、こんなクズと相手するだけ無駄だ」と諏訪湖で充電を諦め、諏訪南IC近くのコンビニで(当時)20kWという遅い充電器での充電を強いられたのでした。あのリーフ絶対許さん。
自宅で充電できるから田舎向けと主張する人も多くいますが、逆です。田舎でもまだまだ圧倒的にガソリンスタンドのほうが圧倒的に多いです。家で充電できる一方、家で短時間で充電できる量などたかが知れています。6kW充電でも1時間かけてようやく5~6kWh充電でき、それでなんとか常識的な通勤圏内の移動ができるかどうかです。2025年3月、私が深夜~朝にかけてゆっくり充電させようとしている最中に緊急事態が発生して車を動かさないといけなくなったもののバッテリー残量ないから急速充電に頼るなんてことが実際に発生しました(近所の日産で充電しました)。ということもあり、田舎で乗る場合も、結局は急速充電のインフラ「も」重要です。高知県の嶺北地域という山の中に1万人くらいいる地方がありますが、2023年に大豊IC近くの急速充電器が廃止されて、ついに急速充電器が地域から消えてしまいました。この場合、最寄りの急速充電器は山を超えて高知市・南国市あたりまで行かないといけません。なお、ガソリンスタンドはちょっと検索しただけで10件以上見つかります。こういうところでは私が最近体験した緊急事態が発生したときみたいな使い方はできません。なので、EVは都市部向けとも言えます。
ところで、EVの充電価格が1分55円前後をベースにしているのには理由があります。というのも時間課金においては最高速度を出し続ける高性能EVでも採算をとれる価格にしなくてはいけません。90kW充電や150kW充電が可能なEVならこの価格は結構お得なんです。ただサクラは30kW充電しかできませんしそれも時間限定ですから、高性能EVがお得な分庶民向けEVが損をしているということになります。
なお、家で充電する場合にはランニングコストは安く、ガソリン車換算だとサクラの電費でも50km/L以上は平気でいきます。私の家の場合、平日深夜・土日祝全時間帯で大体26円/kWh程度なので、アイミーブで12km/kWh換算だと52円あれば24km走れます。サクラ換算でも18~22kmくらいなので激安です。だから家で充電できるかどうかが極めて重要で、家で充電できない人はその時点で選択肢から外れることになります。セカンドカーとしての運用が重要とはつまりこういうのが理由です。でもEVってガソリン車と比べて快適なんで遠くに行きたくなるんですよね。エンジンの振動がないだけでも全然違います。
そんなに長距離の航続距離が大切なのか?
特に東京など大都市部に住んでいる人は勘違いしがちですが、地方ほど航続距離の長さは重要です。なぜならそういう長移動を日常に近い範囲でするからです。セカンドカー専用運用している人もいますが、軽で長距離移動もするとかいうのは当たり前です。私が住んでいる愛媛県東予地方では先日、愛媛県初のサイゼリアがオープンしました。じゃあそこに行こうかとなったら私の場合は往復90kmくらいで、アイミーブMだと若干足りるか足りないか程度になります。サクラ(新車)だと100%出発で季節によっては20~30%、良い季節なら50%くらい残るくらいで往復できます。10%劣化したらこれが15~25%、45%くらいになりそうです。高松に行こうかとなったら往復200kmでアイミーブどころかサクラでも充電計画なしの移動は不可能になります。徳島だと往復240km、宇和島だと往復350km程度となり、宇和島へ行こうものなら充電なしで移動できるEVは限られるのではないかと思われます。2023年末に八幡浜に行った際には、徳島ナンバーのbZ4Xが充電器求めてディーラーを除く当時市内唯一の急速充電スポット(30kW)で充電待ちしていました。先に充電していてすまない、私もここで充電しないと次の最寄り充電スポットである宇和島までたどり着けず電欠するので…(国道378号を走破するため充電していました)。
遠出では最優先で充電のことを考える必要がある車よりは、普通に400km500km移動できてガソリンもすぐ入れられるガソリン車のほうが受け入れられるのは当たり前だと思われます。しかもランニングコストが安いというおまけはついておらず、下手すりゃ大排気量の車よりランニングコストが高くなるというおまけつきですからね。むしろよくこんなにサクラが売れてるもんだと思っていますよ。
「そんなことはない、セカンドカーを徹底すれば最適、長距離を気にすること自体がおかしい」という人もいるかもしれませんが、サクラ中古車の価格の低さこそ、セカンドカーとしてもある程度の航続距離や充電速度が求められているという答えだと私は思います。EVといってもリーフのe+(60kWh)は中古車価格がそこまで落ちていません。大容量バッテリーと90kW充電に対応しているので便利なのです。一方で急速充電速度がサクラと同じホンダeは結構悲惨な価格下落率です。つまりEVであっても必要な性能さえあれば価格は落ちにくいんです。安いEVには理由があると考えるべきで、それを工夫して快適に乗れる人ならばEV中古はかなりお得かもしれません。EVには価格にはないメリットがあり、私自身はエンジンの振動がなくて車酔いしにくいという利点を大いに感じています。これだけで買ってよかったと言えます(逆に言うと、ガソリン車からEVに乗り換えると走行時の快適性の違いでEVからガソリン車に戻れなくなるリスクがあるため、ガソリン車からEVへの移行は慎重にしたほうがいいとも言えます)。
サクラを買っても問題ない人は?
セカンドカーとしての運用を徹底できる人がおすすめです。ただし装備の充実度・あまりに快適な走行性能のため遠出したくなります。が我慢してください。下手に長距離の遠出すると10km/L未満のガソリン車と同じコストを請求されて都度長い時間充電しないといけなくなります。高速で100kmも出したら電費がどえらいことになるので注意してください。新東名の御殿場から浜松まで120km/hで巡航しようものなら5km/L程度のガソリン車程度のランニングコストになってもおかしくありません。街乗りカーに遠乗り性能を求めるのが悪いとか言われそうですが、サクラの上位グレードには遠乗りに適したプロパイロットが標準でついているんですよね。でも肝心の遠乗りをする際には充電速度が遅すぎて不便きわまりない上充電代が高すぎるというあべこべ感の強い内容になっています。まあサクラでも全然遠乗り我慢できるよという人もいると思うんで、買う前に試してください。まあ不便といっても充電はそこらでできるし、余分なお金払って待てばいいだけでもありますからね。充電を抜きにすれば快適過ぎる車なのも間違いはないです。
正直私はサクラ/EKに興味がなく、サクラを買うくらいならもっと安い2代目リーフ(40kWh)が妥当かなと思います。40リーフのバッテリーが劣化して80%台しかない場合でもそのリーフならサクラよりは運用が簡単ですからね。まあ40リーフの場合も難点があるから叩き売りされているわけなんですが…。
他には、PHVプリウスの中古という選択肢もあります。こっちもサクラとの比較対象にされがちですし、価格的にもいい勝負です。EV走行を体験したいだけならこれでも充分かもしれませんが、1台でEVの快適さとエンジンの振動両方を体験できるがゆえにEVが欲しくなるかもしれません。PHEV乗りにはEV走行ばっかりやって数ヶ月エンジン始動させてない、エンジン動かすことがほとんどない、みたいな人結構いますからね。
もっとも、セカンドカーでしか使わないってならちょっと古めのガソリン軽や登録車を安く買うのが一番安上がりで便利な気もしますけどね。近場運転がEVで揺れない、快適とか言ってもどうせ5分10分15分の話です。何乗っても特に体験は変わらないと思います。逆に遠乗りこそ疲れないEVの真価が発揮されるはずなのですが、まあ充電環境があんな感じなので…。
ホンダやBYDの軽EVに期待できるか?
ホンダのN VAN eについて見てみると、ホンダは以前からEV乗りの視点に立たず保守的なバッテリー運用をしていると感じます。ホンダeがサクラと同じく急速充電30kW制限をかけてそれで大失敗しているのですが、あまり改善はされていないようです(なおNVANeについて普通充電6kW、急速充電50kW充電は可能になっている)。というのも、バッテリー容量が29.6kWhあるのに22kWhしか使わせてくれない運用をしている可能性があるという話があり(バッテリーの劣化を防ぐ・また劣化しても劣化したと見せないために7kWhもの余裕を持たせていて使わせない挙げ句、29kWh使えるように宣伝しているのではないかという疑惑)、それが事実であれば絶対にホンダのEVは買いたくないなと思います。それならまだサクラを買ったほうが良いです。
BYDについてはバッテリー容量と充電速度こそが肝で、ここが個人の許容できる最低ラインを突破すれば価格が高くても売れていきそうです。具体的には50kWよりも上の急速充電速度、最低限25kWh以上の容量があればよさそうですね。特に急速充電速度については90kW充電を実現してほしいなと思っています。逆に言うと黒船BYDであっても最低限この程度のスペックを達成できないと沈みます。専門の方で「BYDが軽ICEを駆逐する」なんて過激な表現をしている人もいますが、そうはならず、むしろBYDの軽が従来の軽自動車に駆逐される可能性のほうが高いと思っています。スズキアルトの素晴らしさを説いてしまいますが、100万円ちょっとで遠乗り30km/L余裕な軽自動車なんてもう完璧ですよ。EV軽がICE軽を駆逐するためには、日産アリアと同程度の充電性能とバッテリー容量でアルトの価格にならないと難しいと思います。無茶なことを言うな?でもアリアよりもアルトのほうがエネルギー補給の性能は上ですよ。全国あらゆる市町村にガソリンスタンドもありますし、ガソリンを入れるのに事業者ごとにアプリを使い分けて独自のQRコード決済する必要もありませんし、月1,000円以上の会費を支払う必要もありません。しかも燃費もいいです。
いまさらアイミーブMはやめとけよ
追記です。このことをすっかり忘れていました。アイミーブMについては例外的なEVで伝説の存在です。ただしアイミーブMの中古は古いものが多く、最新の2017年式は私が中古車サイトを1年半眺め続けてやっと1件出てきたものを見つけたその日に電話して掴んだくらい出回りません。実は私のアイミーブM、サクラの中古130万とかよりも高値で掴んでるんです。17年式は回生ブレーキパドルシフトという唯一無二の存在があり、Dレンジに入れたまま惰性走行ができたりeペダル的な使い方もできるためにこれだけで乗る価値はありますが、まず出回りません。Xなら時々出てきます。
またガソリン車と違って格安パーツ交換網が整備されていません。ヒートポンプ式エアコンが壊れたら何十万円かかるのかわかりませんし、バッテリーは劣化しないもののユニット内関連部品が先に壊れるらしく、そうなったら正規ルートだと交換に100万円コースです。私は100万円出すか部品だけ修理する業者を全国対象に探すつもりで準備していますが…。こんな大変な車を今から買って乗るのはおすすめしません。1分8.8円で充電できる電動車両サポートも1分44円に値上がりしちゃいました。クラシックカーとして乗る覚悟がある場合のみおすすめします。
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