という会計検査院の指摘のニュースが出てきました。
暫定2車線の高速道路 「損失は巨額」http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151024/k10010281311000.html
対面通行とは、ざっくり言うと
「片側2車線で高速道路整備する予定だけどお金ないから半分だけ作ってコスト抑える」
という考えの下に出てきたものです。
でもさすがに分離帯に何もないのは…ということでないよりマシなポールが立ってます。
大体こんな感じでポールが立っている あとついでに縁石もある
(ちなみに1970年代の中央道は片側1車線でしたがポールすらなく追越も可能だったようですよ)
将来的には片側2車線になるので、4車線化するときの障害にならないようにという考えの下、ポールと縁石設置という妥協案になったのだと思われます。
ポールと縁石があることで、60km/h制限から70km/h制限に向上します。
ちなみに60制限以下だとポールすらありません。
中部縦貫道・油坂峠道路 越美トンネル内は50制限のためポールなし
箱根新道も50制限でポールなし
とはいえ、暫定でも「事実上」ほぼ恒久的に片側1車線の区間が多いです。
交通量が多くても最近は片側2車線にしないという例も多いです。お金がないという名目です。
交通量がよっぽど多くて渋滞が頻発していない限りは対象にもなりません。
下手な片側2車線区間よりも交通量の多い高松道すら凍結された過去があります。
たとえば徳島県と愛媛県を結ぶ徳島自動車道、事実上の全線開通から15年以上経ちましたが4車線化の声はまったく聞かれません。
普段は交通量が少ないですが、この高速道路は高速バスが多いという特殊事情があります。
愛媛・高知~関西地方を最短距離で結んでいるため、大型車も多数通行しています。
このようなところでポールだけ立てたところで正面衝突のリスクが減るわけじゃないですし恐ろしいですね。
70制限の高速道路で70で流れているなら良いのですが、実際はそうではないです。
「70」制限は形だけで実勢速度は100~110km/hである
高速道路取り締まりの基準として、制限速度「+40未満」であれば捕まりにくい
(というかほぼ捕まらない)という実態があります。
70制限の区間で70で走行している車はほとんどいないわけです。
そんな車がいたらボンクラ扱いされてしまいます。
(特に西日本ほど顕著ですが、東日本はやや実勢速度が低いです)
徳島自動車道だと、100km/hで走行している車でもよく煽られる傾向があります。
追い越しポイントがあまりないので片側2車線になったところで必死で抜かしにかかる車が多いですが、上り方面は美馬ICにオービスが設置されてあり、徳島新聞で「酷い」とニュースになったこともありました。
全長2000メートル超でありながら、トンネル内は常にカーブしている
徳島道の「太刀野トンネル」
ここは嫌な思いをしている人が多いはず
徳島道・美馬IC付近のオービス
実勢速度100km/hのところで対向車を遮るものが何もないと、正面衝突したら大抵死にます。
どんなに良い車でも無事では済みません。
このように対面通行の高速道路は危険だらけなのは疑う余地もありません。
※
もっとも、最近では最初から4車線化をあきらめて代わりに分離帯をつけている区間もあります。
加古川バイパスと山陽道・国道175号を結ぶ東播磨道
2014年に開通したばかりで中央分離帯もある
見ればわかるとおり、80制限にアップしている
ただ、規格の問題で最近の道路でも設置されていない場所は多いです。
2015年3月14日開通 徳島道
2015年3月22日開通 高知東部道
しかし、中央分離帯をつけるとなると、1つ問題が出てきます。もっともこの問題については
「???」と感じる人は多いと思いますが…
東播磨道の例のような中央分離帯は設置にスペースが必要です。
ちょっとばかり拡幅させる工事が必要になるわけです。
容易に拡幅できる場所なら良いのですが…
徳島道下り49キロ地点にあるこの登坂車線、2000年代後半に新しく設置されました。
構造物(高架・トンネル)がない部分が1kmくらいあるため、設置が可能でした。
この例のように、対面通行の高速道路で後から車線を増やすのに適した場所は多くありません。
多くの場所は、高架・トンネルが混ざり合っています。
このような場所で拡幅は1メートルですら不可能です。
ですから、中央分離帯設置は高架・トンネルを除く場所のみになります。
1車線あたりの幅員を減らせばよいではないかという考えもありますが、減らすと制限速度は60km/hに落とされそうな気がします。
東名高速道路・豊田JCT~音羽蒲郡の間
1車線あたり3.6メートル→3.25メートルに狭くして拡幅した結果、
制限速度は60に落とされてしまった
(もっとも制限速度を守っている車なんかいない)
東名は特殊で1車線あたり3.6メートルですが、基本的には高速道路の幅員は3.5メートルです。
これを3.25メートルに落として制限80にした例というのは東名阪道を除いてありません。
東名阪道を2車線→3車線にした場合は距離が短いから?か80のままでしたが、これが他の区間に適用されるかどうかはわかりません。
1車線あたり3.25メートルが当たり前になっている都市高速でも、幅が3.25メートルのところで80以上の制限速度になっているところはありません。
会計検査院の言う通りに中央分離帯をつけて80制限にするのは実は巨額の費用がかかる
ということがわかります。
(主に運用面で前例がないため)
警察的な話になるので、警察が車線幅を減らしても制限速度を上げることにうんと言えば大丈夫ではあるとは思いますが、現状はこのような難癖をつけられる可能性が高いと思います。
実は、良い防護柵は開発されています。
磐越道にはこのような防護柵が設置されました。かなりの強度があるそうです。
道央自動車道大沼公園(おおぬまこうえん)インターチェンジ(IC)から森(もり)IC間(延長9.7Km)が開通http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h24/0726/
ここで試行導入されたものが磐越道にも採用されているようです。
このワイヤーロープ区間は結構走りやすかったです。また車線の拡幅も不要ではないかとみられるのでこのワイヤーロープ式を全国的に広めていくのが今のところは一番良いと思います。
2車線道路における ワイヤーロープ式防護柵の開発と実用化
http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h25giken/program/kadai/pdf/innovation/innova1_02.pdf
どのような方式を採用するにしろ、できる限り早く中央分離帯は設置してほしいものです。
このような勧告が出たということはかなりの前進であることが言えます。
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