2015年12月4日金曜日

「超小型車」がいつまで経ってもまともに普及しない、そしてこれからも普及しない理由とは?

1~2人乗りで小回りが利く、田舎で役に立つと期待されている超小型車。

これは日産の


2011年ごろに「数年後に販売予定」とかいろいろなメーカーから話が出てきた気がするのですが、2015年末現在もさっぱりその話を聞かないし、販売している車があってもまともに走行している姿はほとんど見ない、見てもセブンイレブンが大量導入している分だけと思っている人は多いでしょう。

なぜ普及しないのか…それは実際に買ってみようと思ったらすぐにわかってしまうことでもあります。





これは4人乗りの小型乗用車「iQ」
全長3メートルを切る凄いパッケージだがかなり本体価格が高い



最大の理由は

・4人乗りの軽自動車と比べて優位点が小さいくらいしかないのに軽と価格が同じ

この点を解決しないとどうにもならない。

この「アルトバン」という軽自動車はオートマで77.7万円です。
4人乗れるし鍵をかければ荷物も盗まれません。
高速道路も100km/hまで出せるし余裕もあります。
安全装備もついているし衝突安全性もあります。
エアコンはついているしキーレスエントリーもあります。
ラジオもついてます。
http://www.suzuki.co.jp/car/alto_van/


今売られている超小型車「コムス」の価格、一通りそろえると82万円です。
1人乗り、ドアが幌なので別途鍵のかかる荷物置き場が必要です。
(カッターで簡単に切れる)
1回充電して航続距離は最高50kmです。
高速道路は乗れません。
税金は原付並・車検はありません。
衝突安全性はよくわかりませんがドアは幌なので紙装甲なのは間違いない。
エアコンはないので夏は暑いし冬は寒い。
http://coms.toyotabody.jp/specs/equipment.html



さあ、あなたならどっちを買いますか?

悩むことは一つもないでしょう。

たとえコムスが半額でもアルトを選ぶ。アルトが嫌なら他の軽を買う。
そしてコムス型の車が半額になることはガソリン車が使われなくなるような時代になるまでは訪れない。


なぜ、こう言い切れるのかというと…

・82万円という低価格を実現した背景には「鉛蓄電池」の採用がある

バッテリー容量単価の安い鉛蓄電池を採用することで、低価格を実現しています。
ただしスペースはとられるし航続距離を伸ばすことはできない。
それを解決するためにリチウムイオン電池を使ったらおいくら万円になるのでしょうか。おそらく100万円は軽く超えてくるでしょう。そして100万円を超えてしまった場合、「アイミーブ」という超強力なライバルが登場します。

アイミーブの価格帯 補助金を合わせて180万円くらいになっている
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/i-miev/grade/




どうしても EV がいいならアイミーブで充分です。
新車だけじゃなく中古車もあるのでそれだともっと安いです。
中古でも航続距離が50km未満になっているような個体はないでしょう。

EVとして見た場合、アイミーブに勝たないと行けないという点で超小型車は苦しい現実があります。


・2人乗りの車というのは、その車専用にいろいろな部品を開発しないといけなくなるので売れている4人乗りの車と比べるとどうしても原価が高くなってしまう


最初にiQの画像をなんで貼ったかといえば、小さいことがコスト増の原因になっていて、そのせいで売れなくなってしまっている車の代表格だからです。
あの車、150万円するんですが新車で買う人ってあまりいないでしょう?


同様の問題は、かつてスズキが出していた2人乗りの軽自動車「ツイン」にも出ています。



ベンツが出しているスマートは縦列駐車に特化しているパッケージで、税金も補助されているため欧州ではちょっとだけ需要があるものです。でも高いです。





これらの車が売れまくって、部品の生産数が4人乗りと同じくらいまでになれば、コストは2人乗りのほうが原価は安くなるでしょうけども…


・日本人は2人乗れる車を「2人しか乗れない車」と認識してしまうので売れない

割り切れずに小さな車に可能な限りの空間を求めた結果、ウェイクというとんでもない軽自動車が登場してしかも結構売れている事態になっています。

コンセプトカー時点のウェイクはデカデカと呼ばれていた
誰もこの車が市販されるとはこの時点では思っていない


他にも軽を出しているメーカーはみんなこの手の車を出していて売れている車となっています。

一方の二人乗りの車の売れ行きは散々なものです。出ては消える出ては消えるという…
(ただし軽トラは別です)


こんな状態なので、2人乗りの車が売れる→安くなると好循環に嵌ることはあり得ないのです。




どうすれば普及するのか?


・無理矢理税金を突っ込みまくって原付みたいに20万円台で入手できるようにする

普及させるならこれしかない。できなければ軽の天下が続くでしょう。
(税金自体は安いので、激安になれば普及はするはず)

商業的に失敗が目に見えているものは企業は出さないがとりあえず続けているアピールだけはする。というのが現状でしょう。個人的には悪くない車の種類ではあると思っていますが、値段見たらだれでも軽自動車買うってもんでしょう。

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